フリー台本「女勇者」

おすすめ 女性向け
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文字数 548


長老!
勇者が現れて、世界の危機を救うというこの予言の書が本当なら、
わたしが、その勇者になります!
……女子供を戦いに向かわせるわけにはいかない?
そんなことを言っている場合ですか?
確かにわたしは12歳の女です。
でも、それは戦うべきではないという理由にはなりません!
予言の書をもう一度よく読んでください。
勇者は男で、勇者は大人である、
そんなことは、どこにも書いていません。
決めつけを捨てて、どうかわたしに戦わせてください!
それに……もし他の人が戦って、傷を負ったり命を落としたりしたら、その人の家族が悲しみます。
……わたしには、家族がいません。
ただ、みなしごだったわたしを拾って育ててくださった、師匠がいるだけです。
わたしが勇者として世界を救うのなら、誇りを持って送り出す。
無謀な戦いをして無惨に屍となるような、生半可な剣士にわたしを育てたつもりはないから、心配はいらない。
そう師匠は言っています。
ですから長老……わたしに、勇者の証を授けてください!
……えっ?森から魔物が?
これから長老の館に、村人たちを避難させる……
……わかりました。
長老のご決断を待っている暇はなさそうですね。
……どこへ行くかって?
わかりきったことを聞かないでください。
わたしがこの剣で、全ての魔を斬ってみせる!
勇者は……わたしだ!